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知られざる銘醸地「ベルジュラック」

ベルジュラックワイン委員会の主催で、ベルジュラックのシャトー・ド・ラ・ジョーベルティのオーナー、ヒュー・ライマン氏が来日し、まだあまり知られていないベルジュラックの姿を紹介しました。
ベルジュラックはドルドーニュ河をサン・テミリオンから上流に向かったところに広がる産地。年間平均生産量は約525,000hl。ボルドーと並んで、イギリスには古い時代から知られていた産地で、今でもイギリスからは毎日10便の直行便があるほど(ちなみにパリからの直行便はない)。 甘口のモンバジヤックは16、17世紀にはソーテルヌのシャトー・ディケムをしのぐ名声があったと言われています。

品種もボルドーと同じく、赤ワインはカベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルロ、白ワインはソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン、ミュスカデルが主体。小さい産地ながら赤、ロゼ、白辛口、白半甘口・甘口と多彩なスタイルのワインを生み出しています。

ぶどう畑は水はけが良い、粘土石灰質の丘陵地帯に広がります。気候はボルドーとは異なり大陸性気候。このためビオ(有機栽培)には適していて、ぶどう畑の10%にあたる約1,000haはビオ(認証を受けているのはこのうちの半分、残りは転換中)。赤ワインは色が濃く凝縮しており、白ワインでは、ミュスカデルが気候の恩恵を受けて、収穫までの時間がボルドーよりも長く、独特の風味が現れます。

なおライマン氏によると、近年の温暖化の影響で、ベルジュラックのメルロはタンニンと糖分の成熟度のスピードが合わなくなってきたため作付面積が減少し始めている。カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランマルベックの方が、現在のベルジュラックには適したものと考えられている、とのことでした。
ベルジュラックはぶどうだけではなく、野菜や果物も豊富。ぶどう畑が広がる丘陵地帯の上の台地や、ドルドーニュ河の渓谷部分は土地も肥沃で、野菜や果物が栽培されています。ぶどう以外の作物にもビオは拡大しています。ベルジュラックはフォワ・グラや黒トリュフで有名なペリゴール地方の一部。生のホタテ貝に生のトリュフをのせ、まわりをくるみのオイルで囲む料理は、特別な名前は付いていませんが、地元の人が好んで食べるそうです。また鴨もよく食べるそうです。ミシュランの星付きレストランのようなものはありませんが、自然と大地の豊かな恵みを、美味しく食べる、それがベルジュラック流と言えるのでしょう。

なおライマン氏は実はイギリス人。ご両親が1970年代にベルジュラックに畑を購入し、移り住んだそうです。ペリゴール地方は、「ラスコーの壁画」(B.C.800)で有名なように、紀元前からの歴史を持ち、中世に有力貴族が築いたお城など、重要な建築物も多く残されています。「ベルジュラックはフランスで最も素晴らしい景色」とライマン氏が絶賛するのも、うなずけます。

1. シャトー・ド・ラ・ジョーベルティ 2008、ベルジュラック(ロゼ)
セニエ(この場合は12~24時間のマセラシオン)と直接圧搾の両方の手法を採用。「キイチゴなどの赤い果実の表情が良く現われています」
2. シャトー・ド・ラ・ジョーベルティ 2008、ベルジュラック・セック(白辛口)
セミヨンとソーヴィニヨン・ブランが50%ずつ。樽発酵、樽熟成で、25%が新樽。
「ベルジュラックで長熟型の白ワインができるとは思っていませんでしたが、自分が間違っていたことがよくわかりました。ベルジュラックは素晴らしい長熟型の白ワインを生み出すことができます」とライマン氏。フレッシュでありながら、力強く、余韻の長いスタイルを目指したとのことです。
3. シャトー・ド・ラ・ジョーベルティ 2004、ベルジュラック(赤)
シャトーの所有畑の中でも、最も良い区画からのぶどうを使用したもの。「ビオに転換してから4年めとなりますが、ぶどうがどんどん良くなっているのがわかります。以前は抽出しないといけませんでしたが、今では抽出は最低限に抑えています」と、ビオ栽培による目に見える効果を説明しました。マロラクティック発酵の段階からバリックに。
「ややスモーキーな香りで、赤い果実、動物、トリュフなどのニュアンス。タンニンがしっかりとした存在感を示しています」。
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◆[ライマン氏によるミニ解説] AOCベルジュラックとAOCコート・ド・ベルジュラック AOCコート・ド・ベルジュラックとAOCベルジュラックと生産地域は同じだが、AOCコート・ド・ベルジュラックのほうが収量の規定が厳しく、天然最低アルコール度数の規定も高い(コート・ド・ベルジュラックの赤は収量50hl/ha、天然最低アルコール度数11.5%、AOCベルジュラックは収量60hl/ha、天然最低アルコール度数11%)。生産者委員会は、ベルジュラックの中でも、レベルの高いものをAOCコート・ド・ベルジュラックにしようとプロモーションしている。 3番のワイン「シャトー・ド・ラ・ジョーベルティ 2004」は条件としては、AOCコート・ド・ベルジュラックを満たしているが、AOCコート・ド・ベルジュラックのプロモーション戦略は2005年から始まったものでありで、3番のワインはその前に醸造したのでAOCベルジュラックとなった。 両者のスタイルを簡単にのべるとしたら、「AOCベルジュラックは、シンプルで果実味豊か。「Sitting Up」のワインと表現するが、ワインだけで楽しめるもの。AOCコート・ド・ベルジュラックはよりしっかりとしたストラクチュアがあり、複雑なワイン。「Sitting Down」と表現するが、食事と合わせてゆっくりと楽しむワイン」とライマン氏は説明した。 |
4. シャトー・ド・ティルガン 2003、ペシャルマン(赤)
ヴィンテージ2003はぶどうが良く熟した年。ただこのワインは、砂礫と粘土質の土壌で、他の2003のものに比べると、繊細で女性的なスタイルです。アルコール発酵もマロラクティック発酵もステンレスタンク。その後バリックで熟成。 3番のワインよりも熟成したニュアンスがあり、プラム、ヴァニラ、タバコなど。味わいも3番よりもフルボティ。タンニンは3番よりドライな印象。
「川が土地を分け、それによりタンニンのニュアンスは異なります」とライマン氏。 「先日、偶然にもこの造り手の1985を飲む機会がありました。ボルドーのグラーヴ地区のグラン・ヴァンと間違えるほど、素晴らしく熟成していました」
5. シャトー・ベランガール 2005、モンジバャック(白甘口)
ヴィンテージ2005年は、赤や辛口の白は偉大な作柄であったが、甘口の白ワインは、貴腐菌が付着するのにやや難しさがあったそうです。「エレガントでフレッシュ。香りにはパイナップルやハチミツなどのニュアンス。味わいもさっばりとした印象です」。
甘口のワインの問題は、「いつ飲むか」ということ。「アペリティフに楽しめます。また料理では、牡蠣などの塩味の強い料理や白身魚のソースで味付けをしたものなど。あとは、デザートに。あまり甘さが強いものではなく、甘さを抑えたものや、果物などによく合います。アペリティフの場合、スパークリングワインを好む方も多くいらっしゃいます。食事に合わせるのも、甘口ワインはなかなか選びにくいもの。ですので、食後酒としてプロモーションしていきたいですね」とライマン氏は語りました。
そのほか、食事に合わせて以下のワインも供出されました。
6. シャトー・レ・トゥール・デ・ヴェルド 2007、ベルジュラック・セック(白辛口)
7. シャトー・ラルドー 2006、ベルジュラック(赤)
8. シャトー・ド・ティルガン 2006、ペシャルマン(赤)
9. イヴォン・モー 2006、モンジバャック(白甘口)
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